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『週刊ザ・ムービー』 創刊号から33号までが1冊100円だったので1冊も持っていないこともあり全部購入。 1895年から1995年までの映画100年の歴史を1年1冊で紹介していくのですが、創刊号は1960年で1989年まで続き、bR1から1950年に戻ります。 この本が発売された時は、内容が総花的で知りたいことがあったら専門書を読めばいいと思っていたので買う気がおこらなかったのですが、10年単位でザッと目を通していくと、結構読み応えがありますねェ。 ところで、全巻発刊されたのですかね。後67冊を古本屋で探すとなると…… |
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『はじめてのミステリー映画』 (執筆者:河原畑寧・渡辺祥子・北島明弘・滝本誠・北川れい子) 近代映画社:2007年12月10日発行 一口にミステリー映画といっても定義が難しいんですよね。犯罪映画からホラーまで各種ジャンルに跨っていますからね。過去にこの手の本を何冊か読みましたが、過去の本と同様に明確な定義がされておらず、『ミスティック・リバー』などの新しい作品が3〜4本加わった程度で目新しさはありませんでした。定義なんて編者の独断と偏見でいいんですけどね。 それと、過去に評判の高かった作品は観たいと思うのが、ジャンル映画を好きになった初心者でして、私もジャンルは異なりますが西部劇好きになった時は名画座で追っかけましたよ。現在ならDVDで簡単に観ることができるので、初めて観た読者向けにするのか、これから観る読者向けにするのかポイントを絞る必要がありますね。残念ながら、どっちつかずの内容になっていました。 |
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『海のサムライたち』(白石一郎:著) NHK出版:2003年2月25日第1刷発行 藤原純友、村上武吉、松浦党、九鬼嘉隆、小西行長、三浦按針、山田長政、荒木宗太郎、鄭成功といった海を生業の場とした男たちや海外へ進出していった男たちの実像を紹介した史話です。 安南(現:ベトナム)国王の娘を嫁にした朱印船貿易王の荒木宗太郎のことは初めて知りました。王加久王女は宗太郎と長崎にやって来て、長崎で生涯を過すことになります。長崎の諏訪神社の祭りの催事の中に“アニオーさんの行列”として現在も伝わっているのですが、ドラマで見たことがありません。魅力的な人物で、歴史ドラマに登場しても不思議ではないんですけどね。 藤原純友と山田長政は、これまでに何度か興味を持って調べた人物ですが、現存する史料が乏しいこともあって、彼らが登場する小説やドラマも極めて少ないですねェ。 |
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『絶海にあらず(上巻)』(北方謙三:著) 中央文庫:2008年6月25日初版発行 上巻は藤原純友が伊予掾に任じられて伊予で過す承平年間の物語です。藤原北家の私欲のために生活の手段を奪われ海賊となった海の民たちとの親交を図り、指導者的存在になるところまでが描かれています。 純友は伊予の豪族高橋氏の出身で藤原良範の養子という説があるのですが、著者は良範の実子説をとっていますね。私としては、土地勘や海賊戦法の熟知からして養子説の方が面白いと思ったのですが、純友を豪爽闊達な魅力的人物にすることで海の民たちが心服していくようにしています。純友追討軍の将軍となる小野好古が親友という設定になっており、果たして下巻は…… |
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『絶海にあらず(下巻)』(北方謙三:著) 中央文庫:2008年6月25日初版発行 純友の叛乱が史実とはかなり違った内容で展開していきます。純友の活動領域は瀬戸内海にとどまらず、玄界灘さらに東南アジアへと交易活動を広げていきます。対外交易を独占する藤原北家との交易対決という図式になっているんですね。 備前や讃岐での叛乱行為は純友の名前を利用した海賊たちで、純友とは別の組織という解釈にたっています。したがって、純友を裏切る副将の藤原恒利は登場しません。博多で小野好古が率いる追討軍に撃破されるのは別の海賊ね。政府の対外交易の拠点である大宰府の鴻臚館を焼き討ちした純友は…… 既存の史実から脱却した北方歴史巨編で〜す。 |
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『水の江瀧子』(水の江瀧子:著) 日本図書センター:2004年10月25日第1刷発行 1988年に婦人画報社から出版された自叙伝『ひまわり婆っちゃま』を再版したものです。波乱万丈な人生を気どりなく素直に書き綴ってあるのでスイスイ読めました。 いろいろな著名人との裏話も嫌味がなくて人柄が出ていますね。ターキーさんのような変な才人が私は好きだなァ。 病院の待合室は涼しくて、読書が進みま〜す。 |
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『団塊の世代の二万二千日』(江波戸哲夫:著) リベラルタイム出版社:2008年2月11日初版発行 団塊の世代が生きてきた60年を、その時代のキーワードを軸に振り返ります。私自身の人生を振り返る時、この本に書かれている人生に極めて近いものを感じました。それは、団塊の世代に共通した人生観のような気がしますね。自らがレールを敷くのでなく、敷かれたレールの上を進む人生。 だけど、1947〜49年に生まれた世代は805万8000人もいるんですから社会に与える影響は大きいです。自らが世の中を変えていくのでなく、団塊の世代の動向で世の中が勝手に変わっていくんですな。高齢化社会が明るくなるか暗くなるかは団塊の世代の動向次第だよォ。 |
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『隅っこの「昭和」』(出久根達郎:著) 角川書店:2006年6月30日初版発行 副題に“モノが語るあの頃”とあるように、モノを通して昭和を語ったエッセイです。著者が小学校にあがったのが1950年とのことですから、モノのない時代を強烈に体験した世代ですね。モノが出回ってきた時代に育った団塊の世代と違って、モノ不足のトラウマを持っていますね。高度経済成長の担い手として豊かなモノ社会作りに邁進したのがわかります。 ちなみに、団塊の世代はバブル成長の担い手としてモノの使い捨てに邁進しました。“もったいない”の思想なんてありません。本書に出てくるモノは、私にも記憶にあるものばかり(唯一“カバヤ文庫”は知らなんだ)ですが、ちゃぶ台のように見直したら現在でも役立つものがありそうですね。七輪と練炭を自殺に役立てるのは困りものですが…… |
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『帰らざる荒野』(佐々木譲:著) 集英社:2003年4月30日第1刷発行 5話からなる連鎖長編小説です。内容は明治時代の北海道を舞台にしたモロ西部劇ね。 1話は、主人公の父親が恩人を役人に売った卑怯者に復讐する物語。 2話は、馬泥棒に父親を殺され、黒幕に牧場を奪われそうになった主人公が復讐する物語。 3話は、恋人が兄と結婚し、牧場を去った主人公が、旅先で知り合ったイカサマ賭博師が殺され、仇をとる物語。 4話は、旅先で恩を受けた農場主のために、バカ息子を溺愛する大農園主と対決する物語。 5話は、昔の恋人のために、牧場を奪おうとする悪党と対決する物語。人影のないメインストリートで悪党と対峙する決闘シーンなんか、完全に西部劇の世界でしたよ。これは和製西部小説といっても過言でありませ〜ん。 |
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『世界一の映画館とフランス料理店を山形県酒田につくった男はなぜ忘れ去られたのか』(岡田芳郎:著) 講談社:2008年3月6日第3刷発行 内容は長い題名の通りでして、最新設備とサービスで大都会の一流映画館に勝るとも劣らない映画館と、最高の食材とサービスで単なるレストランを越えた“食の劇場”を築いた人物・佐藤久一の伝記です。 地方の時代ということが最近よく口にされますが、それが50年以上前に実践されているんですね。それもソフトウエアに力を入れていることが重要です。どんなに立派な映画館でも、単に配給ルートに乗かったアナタ任せの作品上映だと、他の地方都市の映画館と何ら変わりがないものになりますからね。上映作品を自らが吟味し、観客の期待に応えてこそ映画館が活きてきます。 これは映画館に限らず、地方文化を促進させる共通のテーマだと思いますよ。地方の箱物だけを作って喜んでいる人たちに一読させたい本で〜す。 |