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『バガボンド32』(井上雅彦:著) モーニングKC:2010年1月15日第1刷発行 吉川英治の原作にはない伊藤一刀斎との対決を通して武蔵はますます哲学的になり、一刀斎を媒介にして宿命のライバル・小次郎との縁が深まっていきます。原作を超えた井上武蔵像が完成しつつあります。 |
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『アラーの使者』(九里一平:画、川内康範:原作) マンガショップ:2010年1月3日初版発行 『アラーの使者』は、『七色仮面(新・七色仮面)』の後を受けてNET(現:テレビ朝日)系列で1960年7月7日〜12月27日に放映された東映テレビ製作の覆面ヒーローです。主演は『新・七色仮面』でデビューした千葉真一ね。 カバヤン王国の秘宝の地図や、プレトリヤ王国の三つの秘宝を守って、悪の組織と戦います。イスラム王国の秘宝を悪用しようとする悪人相手に戦うので、アラーの使者なのだよ。同じ川内康範原作の『月光仮面』や『七色仮面』と比べると、放映期間が短く、映画化もされなかったので、マイナーな存在となっていますね。 マンガも、テレビ放映と同時期に『冒険王』の8月号〜1月号で連載されました。当時、私が定期購読していた雑誌は『少年画報』だったので、『冒険王』は目ぼしいマンガだけ貸本屋で立読み(他の本を必ず借りるので文句は言われない)していました。 『アラーの使者』も立読みでして、絵の記憶はあっても、内容はすっかり忘れていましたよ。ロケット光線なんて、テレビで使っていたかなァ。 |
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『大河ドラマ入門』(小谷野敦:著) 光文社新書:2010年1月20日初版発行 原作・脚本から始まり、キャスティング、音楽、時代考証などあらゆる角度から大河ドラマについて論じていますが、主観中心の個人趣味的分析(まえがきで著者が述べている通りの“よもやま話”ね)に終っています。 第2章の「大河ドラマのキャスティング」には事実誤認も多々見られ、大河ドラマの資料としては、あまり役立つものではありませんね。 |
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『宦官』(顧蓉・葛金芳:著、尾鷲卓彦:訳) 徳間文庫:2000年11月15日初版発行 私が宦官に興味を持ったのは、中国や朝鮮で権力者の陰の部分として存在した宦官が、日本にはなかったことなんです。古代においては、中国だけでなく、ローマ・ペルシャ・インドにも宦官がいたというのは驚きでしたね。 宮殿にいる女性は全て国王の所有物という思想のもとに、宮殿の管理に去勢された男が使われたのが始まりのようです。中国では宦官が制度として歴代王朝に引き継がれた為、清朝滅亡まで4千年にわたって歴史に名を残すことになりました。家父長型社会にあって、家をもたない宦官集団は国王に絶対服従し、国王も彼らを信任できる存在として必要としたんですね。朝鮮では高麗時代に伝わり朝鮮王朝へ引き継がれました。韓流時代劇に出てくる内侍(ネシ)や内官(ネグァン)が宦官です。 日本では私有富と権力が分断していて、宦官を必要としなかったのですね。それにしても宦官って、奇怪な存在だよなァ。 |
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『韓国人の発想』(黒田勝弘:著) 徳間文庫:1993年7月15日初版発行 「韓国人の食事は、数多くのおかずをお膳に並べる。韓国人は皿数が多くないと食べた気がしない」、「韓国に“負けるが勝ち”はない」、「一芸一能に通じる思想はない」、「家族主義」、「感情に忠実である」、「なんでも韓国起源主義」など、韓国時代劇を観ていて、この本に書かれている韓国人の発想に納得、納得で〜す。 |
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『銭形平次』(野村湖堂:著、末國善巳:編) PHP文庫:2008年10月17日第1刷発行 全部で383話ある“銭形平次捕物控”の中から、末國善巳が選んだ9話が収録されています。江戸川乱歩的猟奇事件から本格ミステリーの密室殺人まで、幅広い選出になっており、興味万点の内容となっていますね。 なかでも、将軍家光暗殺の陰謀を扱った「金色の処女(おとめ)」は、伝奇的要素が大きく、脚本を膨らませたら面白い映画ができそうな気がしま〜す。 |
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『閉店時間』(ジャック・ケッチャム:著、金子浩:訳) 扶桑社ミステリー:2008年7月30日第1刷発行 中篇4本が収録されており、その中の「川を渡って」が西部小説なので探していたのですが、偶然見つけることができました。発売から時間の経った本は、小さな本屋で見つかることが、よくありますね。 でもって、「川を渡って」ですが、メキシコ戦争直後(1848年)のアリゾナとメキシコの国境地帯を舞台に、3人の男がメキシコ人少女に加勢して売春宿から少女の妹を救い出すノワール・ウエスタンです。 売春宿を経営するギャング団との銃撃戦が細かな描写で展開していきます。ただ、ライフルがウィンチェスターで拳銃がピースメーカーというのは、お手軽すぎますね。1848年には、どちらも登場していませんよ。 映画化が企画されているそうですが、ケッチャムはこの小説を「リオグランデ川の岸でのセルジオ・レオーネとトビー・フーパーの出会い」と語っており、イメージからすると血みどろマカロニウエスタン的なものとなるのですかね。 |
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『PEACE MAKER(4巻)』(皆川亮二:著) ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ:2009年10月24日第1刷発行 今巻はホープが脇にまわり、ビートが主人公として活躍します。相手が調香師で、西部劇的早撃ちの面白味はなかったですね。 それにしても、このマンガ、年に1〜2回の発刊なので、つい買い忘れます。第5巻は2010年初夏発売予定ということで、6月頃になるのでしょう。また忘れてしまいそうだ。 |
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『世界が読めるジョーク集』(古歩道ベンジャミン:著、柳下要司郎:編) あ・うん:2008年8月11日第1刷発行 著者の本名はベンジャミン・フルフォードで、著者名はシャレね。以前に読んだ早坂隆:著の『世界の日本人ジョーク集』の二番煎じのような本です。 ジョークによりお国事情が学べます。今日の新聞に、南アフリカの鉱山で発掘された507カラットのダイヤモンドの原石が約31億円で香港企業に落札された記事が出ていましたが、この本のジョークにある、“そのダイヤモンド、一体誰に贈るんだい? フランス「愛人(ラマン)にさ!」、北朝鮮「将軍様にさ!」、日本「わん(犬)ちゃんにさ!」、南アフリカ「これ拾った石だけど」”といった具合にね。 “ドイツ人は考えてから走る。イタリア人は走ってから考える、イギリス人は歩きながら考える。日本人は周囲と同じように走る”といったクラシックなジョークから、“アメリカ人「おい、ロシア人!なんでウォッカばかり飲んでいるんだ!」、ロシア人「そりゃ、寒いからさ」、アメリカ人「おい、インド人!なんでカレーばかり食ってんだ!」、インド人「そりゃ、暑いからさ」、アメリカ人「おい、日本人!なんでそんなに働いてんだ!」、日本人「そりゃ、生活のためさ」、アメリカ人「おい、ブラジル人!なんでサッカーばかりやってんだ!」、ブラジル人「そりゃ、他にやることがないからさ」、一同(アメリカ人へ)「ところで、なんでお前は他人のやることなすことすべて口出しするんだ?」”といったようなジョークがたっぷり掲載されています。真面目に考えずに笑いとばす本で〜す。 |
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『朝鮮戦争』(萩原遼:著) 文春文庫:1997年6月10日第1刷発行 アメリカ国立公文書館にある160万ページの北朝鮮からの奪取文書の解読を中心に、北朝鮮と朝鮮戦争の根源にせまったノンフィクションです。 北朝鮮建国の英雄・金日成が、一発の弾も撃ったことのない、ただのソ連軍大尉で、ソ連によって作られた抗日の英雄だったことを初めて知りました。英雄を演じているうちに本人もその気になり、ソ連と中国を後ろ盾にして朝鮮統一のために南進計画を立てるんですな。軍備配置を整え、侵攻の機会を待っていたところに38度線で小競り合いがあり、朝鮮戦争が勃発します。 アメリカは北朝鮮の情報を事前に知っており、北朝鮮が侵攻してくるのを待っていたとのこと。アメリカは米軍介入の口実が必要だったんですね。米軍が介入すれば、中国軍も介入し、朝鮮半島は民族の悲劇に見舞われます。結果としては何も生み出さず、北朝鮮は軍事力維持のために経済発展せず、国民は飢えと貧困に喘ぐ現実だけが残されています。金正日政権が崩壊し、南北統合ができれば、北朝鮮国民も飢死することはなくなり、拉致問題も解決できると思うんですがねェ。 |