2008年度読書録


 

『ビバ!フランス映画の女優たち』

芳賀書店:1984年10月1日第1刷発行

 

103人のポートレートと245人の女優名鑑が収録されています。フランス映画の女優ということで、ジェーン・フォンダも対象ね。ソフィー・ドーミエとかサンドラ・ジュリアンといったB級女優も掲載されており、ブックオフで見つけた嬉しい100円本でした。

『Hotwax』

2005年6月14日初版発行

 

梶芽衣子特集です。タランティーノの『キル・ビル』が話題になって、それで特集されたんですね。梶芽衣子の魅力については、藤脇邦夫氏が書いていますが、全く同感です。

他にもモップス特集とか深作欣二特集とかあり、1970年代B級カルチャー(映画・ロック・歌謡曲)本で、読んでいて面白かったです。

『飛鳥時代の謎』(神一行:編)

KKベストセラーズ:1991年1月10日初版発行

 

日本の歴史は天武王朝から正確になりはじめると私は考えていまして、それ以前は推理小説の分野ですね。その日本史のターニングポイントが飛鳥時代になると思います。天武天皇は国史(古事記・日本書紀)編纂に着手し、日本の歴史が文書となって現在まで伝わることになったんですね。

国史編纂は為政者にとって都合のよい歴史なので、神代から飛鳥時代にいたるまでの記述は正確なものではありません。だけど100%フィクションかというとそうでなく、参考にした事実が色々あったと思います。中国の史書と日本の記紀、それに考古学を重ね、想像を膨らますことによって日本の古代が見えてきそうです。

『レゾリューションの対決』(ロバート・B・パーカー:著、山本博:訳)

早川書房:2008年10月25日初版発行

 

コールとヒッチのガンマン・コンビが活躍する西部小説です。『アパルーサの決闘』の続編ね。レゾリューションの町にやってきたヒッチは鉱山のボスと対立する酒場のボスに雇われるんですな。町の支配を巡って二組は対立しており、互いに人手を集めています。コールも町にやってきてヒッチと合流し、酒場のボスの勝利となります。しかし、入植者に味方するコールとヒッチが邪魔になった酒場のボスは退役将校が率いる20人の無法者を雇います。鉱山のボスに雇われていた二人のプロガンマンがコールとヒッチの味方として加わり、4対20の対決となり……

西部の風景や習慣といった叙情性を省いたアクション西部劇です。伝統的西部劇よりもマカロニウエスタンに近いノリですね。前作『アパルーサの決闘』はエド・ハリス監督・主演(エド・ハリスがコールでヴィゴ・モーテンセンがヒッチ)で映画化されていますが、日本公開の予定はないようです。アメリカでは話題となったラッセル・クロウが主演した『決断の3時10分』も日本では未公開だし、配給会社にとって西部劇は鬼門なのかなァ。

『バガボンド29』(井上雄彦:著)

講談社:2008年11月28日第1刷発行

 

細川家の家老・岩間角兵衛と佐々木小次郎の出会いにおける、小川家直という剣客(著者オリジナル)と小次郎の対決が著者独特の画風で描かれているだけで、物語に大きな進展はないです。このペースだと巌流島の決闘まで相当かかりそうですね。

『池波正太郎のフィルム人生』(池波正太郎:著)

新潮文庫:1983年6月25日第1刷発行

 

単なる映画エッセイに終ることなく、“人間とは何か、人生とは何か、社会はどうあるべきか”を真剣に考えさせてくれる好著です。戦前の生活については、戦後生まれなので実感として、もうひとつ感じられないのですが、現在の生活は私たちの子供時代と比べても、ずいぶんゆとりがなくなったと思いますね。社会全体に心のゆとりがないですよね。

勉強(社会生活をおくるための知恵を学ぶのでなく、進学のための知識詰め込み)に追いまくられる子供たちへの反省から“ゆとり教育”なるものが実施されましたが、結局何の効果も見出せずに瓦解しました。親たちを含め社会全体にゆとりがないのに、そんなことをしても無駄だったわけです。気配りとか、思いやりといったことに社会全体が拒否しているのに、子供たちだけにゆとりを持てといっても、そりゃ無理です。皆で高度成長にワッと飛びついて、物があふれる社会作りに邁進したのですから、元に戻ることなんてできませんよ。行き着くところまでいって、社会全体が崩壊しないかぎりね。世界恐慌が始まりそうだし、その日は近いかも……

『少年は大リーグをめざす』(赤瀬川隼:著)

集英社文庫:1998年7月25日第1刷発行

 

雑誌や新聞に書かれた野球に関するエッセイや対談、短編小説を収録したものです。著者の言っていることは、良識ある野球ファンなら誰でも思っていることなんですよ。特に、下手な解説者・煽るだけのアナウンサーによるテレビ放送や、うるさい応援団は野球観戦にジャマなだけですね。

今年引退した野茂のおかげで大リーグの状況が身近に伝わるようになり、ファンの目が肥えてきたというのに、プロ野球機構は旧態依然のままということもね。大リーグのように放映権は球団が管理するのでなく、コミッショナーの管轄下におくべきですよ。試合日程も、きっちり決めてペナントレース終了から日本シリーズまでの間をあけないことも大事ですね。日程が間に合わなければダブルヘッダーをしてもいいじゃありませんか。そのためには、ナベツネのような老害には、さっさと現場から去って欲しいで〜す。

 

 

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